アパッチ野球軍のざっくりとした作品解説
第一話から最終回までの流れを説明します。
途中かなり省いた部分もありますがご容赦ください。
剛の過去と猪猿村
主人公、堂島剛が猪猿村の野球部監督として赴任し、生徒との信頼関係を築くまでが描かれます。
剛は以前、天才と呼ばれた高校球児でした。スイッチピッチャー(左右両手投げ)という珍しいスタイルも注目を浴び、プロ入りは間違い無しと言われていました。
しかし家庭的には恵まれておらず、契約金に目が眩んで暴走する父親を止めるために自分の腕を不具にします。
プロ野球選手という夢が絶たれ、失意の中、剛は恩師の勧めで「猪猿村」へ向かいます。高校の野球部監督として赴任するためです。
猪猿村はダム建設が予定されている村です。
ダムの作業員が他所から押し寄せて以来治安が悪化しており、そのため村人たちは余所者に対して異常なまでの拒絶反応を示しています。
剛も余所者として数々の嫌がらせを受けますが、山で遭難した生徒を命懸けで助けた事から、周囲との信頼関係が生まれてゆきます。
部費使い込み事件
かつては暴れ放題の不良だった生徒達も、今や真面目な野球部員…と思いきや、またしてもトラブルが発生。
野球道具を買いに行かせた生徒たちが、その費用を全て使い込んでしまったのです。
しかもそのお金は村人たちの寄付金。
再び野球部と剛に厳しい目が向けられます。
村長の娘(花子)が野球部員だったこともあり、ついには政治問題に発展してしまいました。村長は落選し、村の経済を牛耳っていたよろず屋・小森(コウモリというあだ名の生徒の父親)が新村長に就任します。
野球の方も、小学生相手の試合に大敗するなど、全く上手く行きません。
苦難続きの剛を力づけてくれるのは、猪猿塾の校長の娘・千恵子の存在です。彼女とのひとときが彼にとっての癒やしでした。
野球部潰しの裏に秘められた夢
コウモリは親の言いつけで、剛の野球部を潰すことを画策します。そのために手を組んだのが網走という生徒です。
彼は当初から野球部に反感を持ち続けており、また父親が前科物ということで周囲から恐れられていました。
ところが剛からピッチャーとしての天才的な才能を指摘され、網走の心に変化が訪れます。彼は密かに、プロ野球選手になりたいという夢を抱いていたのです。
素直に仲間に入りたいと言えないもどかしさで彼は悩みます。
さらに、ピッチャーとしてもある重大な欠陥が判明します。彼は豪速球は投げられても、コントロールは皆無だったのです。
アパッチ野球軍の快進撃
野生児さながらの身体能力で外野手として才能を開花させたモンキー。
ホームランバッターとして、そしてどんな豪速球も受け止めるキャッチャーとして実力を見せる材木。
そして剛と同じスイッチピッチャーとして技術を磨く網走。
彼らの活躍で、アパッチ野球軍はかつての名門・荒波高校野球部との試合に勝利します。
その流れで甲子園常連校であるQL学園野球部から試合を申し込まれました。
この試合で勝利したら、もしかしたら実力を認められて甲子園への道が開けるかもしれない。そう剛は期待しました。
試合は一時チームワークを乱しピンチに陥るものの、見事に勝利を収めます。
絶たれた夢と別れ
アパッチ野球軍は甲子園へ出場する事ができませんでした。
理由は、アパッチ野球軍はあくまで私塾の野球部だったからです。文部省(当時)に認可された学校の野球部でなければ高野連に所属できず、甲子園大会への出場権も無いのです。
失意の中、剛は村を去ることを決めました。さまざまな僻地を訪れ、野球を知らない子どもたちに野球を教える。一生をそれに捧げることにしたのです。
生徒が見送る中、剛を乗せた船は港を離れてゆきます。剛の隣には千恵子も一緒でした。